背景:なぜ内製化を決めたのか
Burkar はトルコの電線保護材メーカーです。ガラス繊維シリコン絶縁チューブのような高温絶縁材は長く輸入に頼っており、納期も為替も、仕様変更の自由度も、輸入元の事情に左右される状態が続いていました。
自社製品の品質と供給のタイミングを自ら握るには、内製化が最も根本的な解決策です。ただし、ガラス繊維シリコン絶縁チューブの製造は、設備を数台導入すれば済むものではありません。
課題:二つの工程の合わせ込み
ガラス繊維シリコン絶縁チューブの製造は、二つの工程の組み合わせです。
- ガラス繊維の編組 — ガラス繊維糸(ガラスヤーン)を編み上げ、内径の安定した中空のチューブにします。編組時の張力と密度が、そのまま仕上がりの均一性を決めます。
- シリコーンの塗布・硬化 — 編組したチューブの外周にシリコーンを均一に塗布し、硬化させます。塗膜の厚み、密着性、硬化条件が、耐熱性・耐電圧・耐候性を左右します。
この二工程の条件は、互いに噛み合っている必要があります。編組密度、シリコーンの粘度、炉温。どれか一つがずれるだけで、絶縁性能も外観も安定しません。新設ラインで本当に時間を取られるのは、設備の調達ではなく、どこも教えてくれない条件出しのほうです。
Good Gi が提供したもの
Burkar が求めていたのは設備そのものではありません。Good Gi がお渡ししたものは、大きく三つに分かれます。
ハード|特注設備
Burkar の工場スペース、生産能力目標、受電容量に合わせて、編組設備と塗布設備を設計しました。標準機をそのまま使うことはできません。天井高も柱の位置も受電容量も、工場ごとに違うからです。
ソフト|工程条件と配合
編組張力、シリコーンの粘度、硬化温度プロファイル。この三つが噛み合って、はじめて品質が安定します。Good Gi は検証済みの条件をそのまま Burkar に提供し、ゼロから条件出しをする時間を省きました。
人|現地据付とオペレーター教育
Good Gi のチームがトルコの現場に入り、据付・配線・試運転まで完了させたうえで、Burkar のオペレーターに立ち上げから条件調整、日常メンテナンスまで実地で指導しました。技術は現地に残ってはじめて意味を持ちます。現地のスタッフだけでラインを動かせる状態になって、引き渡し完了と考えています。
図:2026年6月、トルコの工場でラインの試運転を終えた Good Gi チームと Burkar の皆さん
集合写真のアバターは Ashley Seo 氏による Big Smile を CC BY 4.0 ライセンスのもとで使用しています。
チューブメーカーがお渡しするのは、通常は製品そのものです。Good Gi は、その「つくり方」までを含めてお渡しできます。



図:Burkar の現場のライン制御盤、縦型の塗布・硬化タワー、編組機のガラスヤーンクリール
以上は Burkar での構成例です。実際のラインは、お客様の工場スペース・生産能力目標・受電容量に合わせて設計し直します。標準機をそのまま流用することはありません。
成果:トルコ国内での自社生産
導入後は、ガラス繊維の編組からシリコーンの塗布・硬化まで、すべての工程が Burkar 自社のライン上で完結しています。輸入の納期や為替の変動に左右されることもありません。このラインはフル稼働で年産200万メートルの能力があり、供給のタイミングは Burkar 自身の手に戻りました。
図:ガラス繊維シリコン絶縁チューブのクローズアップ。断面に、編組したガラス繊維層と外側のシリコーン塗膜という二層構造が見えます
ガラス繊維シリコン絶縁チューブの仕様
下表は Good Gi のガラス繊維シリコン絶縁チューブ(GFシリーズ)の標準仕様で、本ラインで生産できる仕様範囲でもあります。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品 | ガラス繊維シリコン絶縁チューブ(Fiberglass Silicone Sleeving、GFシリーズ) |
| 構造 | ガラス繊維編組チューブ + シリコーン塗膜 |
| 内径範囲 | 1〜40mm |
| 耐熱温度 | 200°C(シリコーン塗布シリーズ)/Good Gi のガラス繊維チューブ全シリーズは 200〜650°C をカバー |
| 耐電圧 | 品番別:1.5 / 2.5 / 4 / 7 kV(GF-15 / GF-25 / GF-40 / GSRT-70) |
| 規格対応 | UL、RoHS、REACH |
| 材料 | ガラス繊維糸 + 高耐熱シリコーン |
全仕様と品番一覧は Good Gi 製品ページをご覧ください:www.goodgitube.com/ja-jp/Fiberglass_sleeving_2
この事例から読み取れること
調達・設計ご担当者様へ
生産ラインを一から構築し、客先に操作まで指導しているメーカーであれば、この材料の工程・条件・品質を左右する要因をどこまで把握しているかが見えてきます。完成品を調達される場合も、ロット間のばらつきがどの条件で決まるかを把握したうえで管理している供給元かどうかは、判断材料になるはずです。
内製化をご検討の方へ
Good Gi は、設備・工程条件・オペレーター教育までを含めた技術移転に対応しています。Burkar はその実例です。